上記に載せました各写真ですが、CT検査で様々な条件で撮影した同一臓器(肝臓/胆嚢/胃/十二指腸/門脈/後大静脈/大動脈/肝動脈)です。CT検査では、そのまま撮影するプレーン、造影剤を使用する動脈相・門脈相・平行相がありますが、上記写真がどれかわかりますでしょうか??
シンプルに、一番上がプレーンです。臓器のシルエットくらいしかわかりません。その次が動脈相で、中央にピョろっとある肝動脈や背骨側にある太い血管(大動脈)が白くはっきりと写ります。また薄っすらと肝臓内にも多くの動脈がありますので、チラチラと動脈だけが見えてきます。3番目が門脈相といって肝臓の外にある門脈が白く際立ち、さらには肝臓内にある門脈(門脈枝)まで白くキレイに写ってきます。そして最後が平行相ですが、これは造影剤が通過して結構時間が経過した際の写真ですが、例えば具合が悪い臓器だと造影剤が抜けきるのが遅いため、時間が経過しているにもかかわらず造影剤がまだ残ってしまったりしますので、そのような際の評価に活かされます(あと悪性腫瘍など癌なども同じような見え方をします)。
造影剤を投与したあと20秒経過したときに撮影するのが動脈相、40秒が門脈相、120秒が平衡相といい、時間経過でCTスキャンを行って、様々な条件のもとで画像は分析されていきます。あと細かいですが、とある数字を設定して、その数字に達したらCTスキャンが開始されるなど、撮影方法にもいろいろあります。ただ単純にCTスキャンをしているだけではなく、造影剤を使用したり、投与時間を細かく設定したり、さらにいろいろな条件下で画像を比較して、最適かつ確実な画像診断を行っているのが、CT検査なのです。
当院では年間400件以上のCT検査が行われています。この数字は驚異的な数字であるとCT機器メーカーからはよく耳にしますし、日本国内でも一次診療施設でここまで検査が行われているのも当院くらいではないでしょうか。当院に所属する獣医師らは毎日のCT検査で目がかなり肥えており、キャリアが若い先生でも読影できるようになったりすのも当院ならではかもしれません。
松波動物病院メディカルセンター 松波登記臣