
猫の病気で多いのは、下痢?皮膚炎?外耳炎?猫風邪?膀胱炎?嘔吐?結膜炎?腎不全?・・・
上記病気の順番で多いとペット保険会社からの報告があります。ペット保険加入率の低さから、本来の順番とは若干違う気もしますが、だいたいは合っているのかなと思います。年齢や猫種などにもよりますが、動物病院でよく目にするのが、下痢・嘔吐、猫風邪、膀胱炎、皮膚炎、そして腎不全(腎機能障害)でしょうか。一番に挙げた“下痢・嘔吐”に今回はピックアップしてみましょう。
そもそもネコ科動物が下痢することは珍しい現象と言われています。肉食動物でもあるので、ネコ科動物の腸内細菌は草食や雑食動物と比べても強く、バランスが崩れにくいとも言われているからです。でもそんな猫さんたちが下痢をする理由の多くは、食事の質、そして変な物(いわゆる異物)を食したとき、寄生虫・ウイルスなどによる感染症だと思います。感染症は猫風邪同様、病原体を介して感染が起こり、子猫の下痢でも有名なコクシジウム、瓜実条虫、ジアルジアなど。これら感染症はちゃんと治りますよね。食事の質は難しいのですが、ちゃんと猫さん専用のご飯を食べていたら、そうそう下痢することはありません(食物アレルギーを除いて)ので、飼い主さま含むご家族の食事に対する意識やさじ加減で改善することはできます。でもいつも難しいなぁと思うのは、異物による誤飲誤食です。
異物などを誤って食べてしまい腸閉塞を起こした猫さんのCT画像です。異物によって腸閉塞を起こした腸は、腸全体に渡り、動きが悪くなり、腸ガスが溜まりお腹が膨れてきます。と同時に、嘔吐や下痢も併発し始めていき、ご飯は一切食べなくなります。また猫さんがたくさんの回数吐くことで膵炎や腸炎、さらには胆管炎なども合併症として起こしてしまうケースも珍しくはありません。このような重篤な状況に陥ってしまうと、原因となっている異物自体を取り除かなければ助からないこともあります。つまり外科的に異物を摘出するということです。
当院では異物自体を迅速に発見し、最短距離で手術を終わらせるためにCT検査を実施しています。CT検査が行えれる医療機関は異物が疑われる場合、CT検査を行うことはマストだと思います。この件についてはいつか触れたいと思いますが、当院獣医師主任である児玉が学会発表をしており、CT検査を実施することで異物の発見率はほぼ100%であるという報告までさせて頂いています。「そんなのあたりまえだろ」と思われててもおかしくない内容ではありますが、これまで誰も報告しておらず、アカデミック(科学的根拠)な報告もなかったため、私達が報告することで、CT検査が可能な病院は異物を疑うとき、自信を持ってインフォームドコンセントの内容にCT検査をご案内できる根拠ともなったといえる報告だと思います。少し話がそれてしまいましたが、発見率100%かつピンポイントで腸閉塞が起こってる場所を突き止めれますので、開腹後に即摘出可能のためにはCT検査は不可欠だと思っています。
猫の病気で多いのは、下痢?皮膚炎?外耳炎?猫風邪?膀胱炎?嘔吐?結膜炎?腎不全?・・・の順番で間違いはないと思いますが、嘔吐や下痢の原因となっている異物による誤飲誤食は可能な限り起こさない方がいいですし、防げれることでしたらご家族皆で協力してもらったほうが良いと思います。でも予想がつかない行動に出るのが動物たちですので、怪しい症状が出たときは、すぐさま動物病院に行ってくださいね。
松波動物病院メディカルセンター 松波登記臣