
みなさま、お久しぶりです。松波動物病院メディカルセンターの松波です。表題も書かせていただきましたが、この度、私が執筆した論文が米国獣医系学術雑誌に掲載されましたこと、ご報告させていただきます。
内容に関してですが、腹腔鏡を用いて避妊手術を実施した5キロ以下の犬147頭について書かせていただきました。手術方法を統一した場合、手術時間、合併症などを検討し、その安全性を報告しました。
少し内容に触れますと、腹腔鏡を用いた避妊手術の平均手術時間は18分(皮膚を切るところから縫合を終えるところまで)、手術中の合併症は8頭で子宮間膜からの出血(即座に止血完了)、術後の合併症は2頭で腹壁ヘルニア(その後、整復済)という結果でした。また従来までの報告よりも、大きく手術時間を短縮した要点としては2つ。一つは、避妊手術で用いた超音波メスの優秀さ、そしてもう一つは、子宮頸管(子宮の根本)の切離も腹腔内(お腹の中)で終わらせてしまうこと、でした。
手術時間も早く、そして合併症も少なく、安全に手術を実施できますという結語で締めくくっておりますが、世界的に見ても日本国内で飼育されている犬の多くは小型犬です。それも5キログラム以下がほとんどのなかで、これまでこのような犬を対象にして調べられていなかったことでしたので、ジャーナル(雑誌)側からも一定の評価(今後はその雑誌のレフェリーになることにもなりました)をいただけました。
本論文は、両側卵巣子宮前摘出手術(左右の卵巣と子宮を全部摘出すること)ですが、昨今、世界的には条件が揃っていることで「卵巣だけ」の摘出で問題ないことがわかってきています。ちなみに、その条件には該当しなかった場合はこれまで通りの「卵巣も子宮も」摘出しなければいけません。ですので、当院では両側卵巣子宮前摘出手術と並行して、卵巣摘出手術も行っていますので、そちらのデータも集まり次第、論文にしていきたいと思っています。
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松波動物病院メディカルセンター 獣医師 松波登記臣