当院には、動物高度医療機器のCT装置が設置されています。人の医療では多く知られていますが、動物病院でCT検査が実施できるところはそこまで多くありません。CT検査には大きく分けて2つの有用性があります。1つは診断、もう1つは手術支援(治療支援)です。前者は言うまでもなく、病気を検索し、診断効率の向上を目指します。後者の手術支援というのは、CT検査で診断できる病気や病変はかなり正確に把握することが出来るので、万が一手術が必要な病気の場合は、正確に病気や病変を除去出来ることになります。
1つ例を挙げてみましょう。病気としても有名な“癌”についてです。悪性腫瘍とも言われていますが、その癌がお腹のなかに出来ている可能性が、レントゲン検査や超音波検査で仮診断されたあと、どのようにして治療が進められるのでしょうか。そのままその癌を開腹して切除しますか?それとも抗癌剤をいきなり使用していくのでしょうか?そのような治療方針は今の時代、認められていません。人の医療の現場においても、動物の医療の現場においても、まずはCT検査を実施します。理由は、上記にも挙げましたように診断と手術支援(治療支援)をしなければいけないからです。特に今回挙げた癌という病気は転移します。CT検査では、癌の転移も把握することが出来ますし、癌自体の摘出も可能かどうかの判断も出来ます。つまり、癌の進行状況、そして治療が出来るのかどうかをCT検査で診断および手術支援(治療支援)を行っているのです。
上の写真は、肝臓癌(肝臓腫瘍)です。左の写真で癌はどこにあるでしょうか?正解は右の写真の◯で囲ってあるところです。またCT検査のデータを駆使すると3Dにもできます。下の動画になります。中央に位置する黄緑色の塊が肝臓癌(肝臓腫瘍)です。このように3Dにすることで、この癌が安全に摘出出来るかどうかを立体にして(3Dにして)、手術支援(治療支援)を行っています。
今回は癌について簡単にお話しましたが、CT検査において診断できることはまだまだ無限にあります。当院ホームページの画像診断科のページに詳細が書かれていますので、お時間有りましたらぜひご覧頂ければ幸いです。
松波動物病院メディカルセンター 獣医師 松波登記臣
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